●咬合成育について
成長のある時期のお子さん(患者さん)を支援していこうという考え方で、単純に訳せば、咬み合わせを成長させていくことですが、お子さんの全体的な生活に合わせて治療を行い、支援していくことを言います。大切なことは、ドクターや親など、周りの人間のエゴで子どもたちに関与したり治療を行わないこと。一人ひとりお子さんは違いますから、お子さんを主体とした治療を行うことです。てすと
●原因治療
当診療所では、原因治療ということを目指しています。例えば、風邪をひいて熱が出たから、熱を下げるといったような対症療法だけではなく、「なぜ、風邪をひいたのか?」と考え、ライフスタイルやその時の行動のあり方も同時に考えるようにします。薄着をしていなかったか、風邪をひいている人の側にいなかったか、うがいや手洗いはきちんとやったか、寝相は悪くないか、汗をかいたら下着を取り替えたか、部屋にすきま風は入り込んでいないか等々、原因は様々に考えられます。その原因を正さなければ、一時よくなっても、また風邪を引いてしまいます。
それは、歯の咬み合わせについても言えることです。「なぜ、そんな咬み合わせになったのか」といった原因を追求し、アドバイスをする。原因がわかっていれば、治療と同時に、予防もできます。なかなか難しいことですが、できるだけ早く原因を除去し、年少の時期からよい咬み合わせができるように、成長に合わせてアドバイスをさせていただき、治療を行なっています。
●外科矯正歯科治療について
近年、とてもよく治るということで、外科矯正歯科治療をされる方がだいぶ増えてきています。矯正歯科治療の限界を超えた、極端な骨格性の不正咬合に対して、矯正歯科治療と外科手術の特徴を最大限に活かして、顔貌の不正、咀嚼、発音、機能的な障害などの改善を目指す、総合的な治療法です。例えば反対咬合の方や、上下の顎の位置的なずれがあった場合に、原因の顎のずれを外科手術を施して、咬み合わせを治します。
下の顎が出ている場合の治し方についてですが、それは2つあって、下の顎を後ろにひっこめる方法と、上の顎を前に出す方法です。両方とも咬み合わせのずれが治りますが、その方の顔貌のバランスやずれの度合いによって治療法が変わります。
具体的には、人工的に骨折を起こして、ずれた位置で骨をつけ直し、咬み合わせの位置を直します。その治療の前後に、よい咬み合わせとなるための矯正歯科治療をします。手術は、口腔外科および形成外科の医師に依頼しますので、他医院の医師、スタッフ、矯正歯科医が一緒にタイアップして、治療を進めていきます。
外科的矯正歯科治療の場合は、矯正歯科治療に保険治療が適用できます。
治療期間は、手術をする前の治療(術前矯正)が約1年~2,3年、入院が1週間、術後の矯正歯科治療が半年位は必要です。その後もリテーナーといって、歯が後戻りしないようにするための装置を、口の中に入れておかなければいけません。
●矯正歯科治療
矯正歯科治療というのは、一般的に「歯並びを治すこと」と言われていますが、当診療所の根本的な理念としては、「美味しく食べ、楽しく話すことができて一生を元気に過ごすことができる」そのために、矯正歯科治療は必要であると考えています。この「食べる」「話をする」ということは、人間の生活の中で非常に重要な部分をしめていると思います。その部分が、満たされていることが大切です。歯並びが悪いと充分な歯磨きが出来にくいことなどによって、歯槽膿漏やむし歯になりやすく、歯を維持していくことが大変困難になります。矯正歯科治療をすることによって丈夫な歯を維持し、生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)を豊かにするために、当診療所では矯正歯科治療を行っています。
最期まで、食事を口で摂り、お話をして生活をする。これが、満たされない限りは、人間として満足されないのではないでしょうか。咀嚼・嚥下・発音・呼吸という問題をしっかりと認識し、それが正常に維持されてこそ、生活の質が保たれると思います。そうした生活を維持できるよう支援してゆきたいと思っています。